空を知らない君に贈る唄


そこは――宿舎の、⾃分の部屋だった。

綺麗に整頓された机。

ハンガーに掛けられた隊服のジャケット。

「……」

⾃分が倒れてから、何があったのだろう。

凛に助けられたあたりから、記憶がぷつりと途切れている。

装備は外されているが、隊服は着たままだ。

それだけで、あの出来事が夢ではなかったことを嫌でも理解させられる。

不意に、額のあたりに違和感を覚えた。

恐る恐る⼿を伸ばし、触れた瞬間――

「っ……!」

鋭い痛みが⾛り、思わず顔をしかめる。

どうやら包帯が巻かれているらしい。

視線を落とすと、腕や脚にも応急処置の跡がいくつもあった。

――やっぱり、夢じゃない。

⾝体が、かすかに震えた。

澄華はもう⼀度深呼吸をして、ゆっくりとベッドから⽴ち上がる。

⾜元は少し⼼許ないが、⽴てないほどではない。