「……」
⾔葉が、出なかった。
息をするのも忘れて、ただ⽗を⾒つめる。
⽗は何も⾔わず、変わらぬ仕草で、澄華の頭を撫で続ける。
あの頃と同じ、⼤きくて、温かい⼿。
「……お⽗、さん……?」
震える声で、ようやくそれだけを絞り出す。
「なんで……ここに……」
⽗は、少し照れたように笑ってから、静かに⼝を開いた。
「澄華、頑張ってたなぁ」
その⼀⾔で、胸の奥が、ぐっと締め付けられる。
「⼤事な時に俺を思い出してくれて……ありがとうなぁ」
その瞬間だった。
懐かしさと、どうしようもない喪失感が⼀気に押し寄せた。
堪えていたものが、堰を切ったように溢れ出す。
「……っ……」
澄華は、⽗の胸元にすがりついた。
「……っ、こわ……かった……っ」
「……みんな、死んで……っ」
「……私、何も……っ」
⾔葉は、嗚咽に変わり、意味を成さなくなる。
ただ、⼦どものように泣き崩れるしかなかった。
⽗は何も⾔わず、澄華の頭を撫で続ける。
その笑顔は温かく、優しく――けれど、どこか悲しげだった。



