* * *
――澄華が⽬を開くと、そこは⼀⾯に広がる草原だった。
⾵に揺れる柔らかな草の⾳。
空はどこまでも⾼く、雲はゆっくりと流れている。
「……ここ、は……」
反射的に⾝を起こし、辺りを⾒渡す。
「みんなは……!? 時川班⻑は……陽⽃は……!?」
だが、どこにも⼈影はなかった。
異喰の姿も、⾎の臭いも、爆⾳も――何もない。
まるで、最初から戦いなど存在しなかったかのような、静かな世界。
(……夢?)
そう思った瞬間だった。
ぽん、と。
優しく懐かしい感触が、頭に触れた。
澄華は、はっとして顔を上げる。
そこに⽴っていたのは――
柔らかく⽬を細めて笑う、⽗の姿だった。



