空を知らない君に贈る唄


だが、凛は軽く⾆打ちをすると、ため息混じりに⾔った。

「⾺⿅か?」

その声⾳には、苛⽴ちと――確かな⼼配が混じっていた。

「出⾎量が尋常じゃねえ。

貧⾎でぶっ倒れてねぇのが、不思議なくらいだ」

そう⾔いながら、凛は澄華の⾝体を⾃分の⽅へと引き寄せる。

抗う⼒など、もう残っていなかった。

そのまま、抱きかかえられる。

(……あ……)

凛の腕は思っていた以上に強く安定していた。

その感覚に、張り詰めていた緊張が⼀気に緩む。

⽬の前が⽩く霞んでいく。

⾳が遠ざかる。

⾃分の⼼臓の⾳だけが、やけに⼤きく響いていた。

(……だめ、だ……)

ここで、意識を失うわけにはいかない。

伝えなければならないことが、ある。

澄華は、最後に残った⼒を、喉に集めた。

「……ここ、から……」

唇がうまく動かない。

⾆が、重たい。