空を知らない君に贈る唄


「……っ!?」

地⾯から50メートル以上離れた⾼さから、澄華は落下した。

跳躍装置で体勢を⽴て直そうと、レバーに⼿をかける。

だが、反応がなかった。

かすかに、カスッ、カスッ――

という⼩さな⾳だけが⽿に⼊る。

――ああ、そうか。

空気切れだ。

(……当たり前か。)

どれだけ戦い続けたのかも分からず、その上空気の補充もしていない。

最低でもボタンを押してから三分は必要な空気の補充。

三分じゃ……落下に間に合わない。

(ここ、まで……かぁ)

逆さまになった視界の端で、⽊々の間から時川が⾒えた。

思わず⼿を伸ばす。

――誰かに、知らせなければ。

陽⽃や⻯也がいる場所を知る⼈間は澄華以外にいない。

せめて、誰かに……。

その思考が頭を駆け巡る刹那、

──誰かが⾶んできた。

冷たい⾵が背中をかすめ、次の瞬間、強い腕に抱きかかえられた。

「掴まれ!!!!」

声とともに、重⼒に逆らうように持ち上げられる。

⾜元の地⾯が遠ざかり、⼼臓が喉元にまで浮く。

――凛だった。

澄華の視界の中で、凛の顔が確固たる覚悟と冷静さを宿している。

その瞳の奥には、迷いも恐怖もなかった。