空を知らない君に贈る唄


(遅れるな!!)

(考えるな!!!)

そのまま――

澄華は、⼆体⽬へと⾶び込んでいった。

⾃分が、ここで“⽌める”と決めたから。

誰かに誇れる⾃分でいるために。

⼀体⽬を倒してから、どれくらいの時間が経ったのだろう。

何体狩ったのかも、澄華には分からなかった。

額に張り付く汗と呼吸の荒さ。

錐⼑の重みと跳躍装置での連続⾶⾏の疲労が、全⾝に重く

のしかかる。

――時川があそこまでぼろぼろになっていた理由を、澄華は今、

ようやく理解した。

キリが無いのだ。

倒しても倒しても、向こう側から……

前線部隊がいるはずの⽅向から、次々と異喰が現れる。

ここまでの数で群れている事例なんて、今までなかった。

だが、どんなに予想外のことがあっても、適応できなければそこで

ゲームオーバー。

死ぬだけだ。

――幸い、まだ致命傷は負っていない。

平気。

そう、平気だ。

そう⾃分に⾔い聞かせた⽮先、⾜元が滑った。