空を知らない君に贈る唄


(ここは……異喰の肩の上)

現実に引き戻され、澄華は⻭を⾷いしばる。

このままでは、⾃分も時川も次の瞬間には振り落とされかねない。

――迷っている時間は、ない。

澄華は視線を⾛らせ、先ほど倒した異喰の⾝体に、まだ刺さったままの

⾃分のポインターを⾒つけた。

時川を抱え直し、澄華は思い切って、その⽅向へと跳んだ。

空気を切る⾳。

落下の恐怖が、背⾻を駆け抜ける。

だが――

⼈差し指のサックに、親指で触れた瞬間。

磁⼒が、⾝体を引き寄せた。

「――っ!!」

衝撃を殺しきれず、膝に痛みが⾛る。

それでも、なんとか着地した。

すぐさま、さらに下へ。

太く、根を張った⼤⽊の幹が視界に⼊る。

澄華は最後の跳躍を⾏い、⽊々の影に滑り込むように降り⽴った。

「……っ、はぁ……」

息を整える暇もない。

澄華は⽊の根元に時川を下ろし、幹にもたれかからせるようにして

そっと寝かせた。

⾃分が隊服の下に着ていたシャツを、ためらいなく裂く。

そして、⼀番出⾎の激しい額に――

強く、きつく巻きつけた。

「……⽣きてください。」

それは、祈りのような⾔葉だった。