空を知らない君に贈る唄


「……っ」

苦しげに顔を歪め、時川は絞り出すように⼝を開く。

「階級が牡丹の……あの桜⽥だって死んだんだぞ!!」

声が、裏返る。

「もう……もう誰も、死なせたくないんだよ!!!」

異喰の上にいるということすら忘れてしまったかのような、強い叫び。

「頼むから!!!!」

その⾔葉は、命令でも叱責でもなかった。

――懇願だった。

澄華の胸が、ぎゅっと締め付けられる。

(……分かる)

その気持ちは、痛いほど、分かった。

昨⽇までの⾃分と、同じだったから。

誰かが死ぬくらいなら⾃分が死んだほうが楽だと、本気で思っていた。

誰かを失う恐怖から、⾃分を差し出すことで、逃げようとしていた。