澄華は錐⼑を握りしめたまま、唇を噛み締める。
(……まだ、終わってない。 ―――終わらせない!!!)
この場に⽴つと決めた以上、逃げるわけにはいかない。
澄華は時川の⽅へと⾝を向け、⼀歩前へ出た。
「階級『百合』⼀班――⾬宮澄華。只今到着いたしました!!!」
澄んだ、しかし震えのない声だった。
異喰の巨⼤な肩の上。
⾜場などあるはずもない場所で、澄華は背筋を伸ばし、はっきりと
⾔い切った。
そして――まっすぐに、時川の⽬を⾒返す。
逃げない。
逸らさない。
時川はその視線に、ほんの⼀瞬だけたじろいだ。



