空を知らない君に贈る唄


⼀瞬、内臓が置き去りにされる感覚。

だが、⻭を⾷いしばり、体幹に⼒を込める。

(崩れないように……!)

空中で半回転。

そして――

異喰の肩に刺さったポインターへ、正確に着地した。

(できた……!)

⼀瞬だけ、脳裏をよぎる。

――昨⽇の夜の訓練。

陽⽃が、何度も繰り返していた動き。

澄華はそのまま異喰の肩を蹴り、駆け出した。

⾁を踏む不快な感触。

だが、躊躇はしない。

助⾛をつけて勢いよく跳び、それと同時にレバーを引く。

磁⼒に引かれ、⾝体が加速した。

視界いっぱいに広がる異喰の――顔。

「――っ!」

息を吐き切り、その勢いのまま。

両⼿の錐⼑を、左右同時に突き 出した 。

――ズブリ。

両⽬を、正確に貫く。

ぬちゃっ、という⽣理的嫌悪を誘う感触が⼿に伝わる。

胃の奥がひっくり返りそうになるが、⻭を噛み締め、

感覚を切り捨てた。