空を知らない君に贈る唄


ようやく⽊々を抜けた澄華は、思わず⾜を⽌め――空を⾒上げた。

そこには、先程、⻯也が倒した異喰よりも⼤きい個体が、

明らかに複数………少なくとも、三体以上はいた。

⾁の塊のような巨体が、地⾯を踏み砕きながら蠢くその合間を縫うように、

必死に空を切り裂いている影があった。

――時川だ。

翻弄されながらも紙⼀重で攻撃をかわし、反撃を続けている。

だが、その動きは、明らかに鈍っていた。

「……っ!」

胸が、締め付けられる。

(間に合って……)

願うより早く、澄華は叫んでいた。

「時川班⻑!!!!」

声を張り上げると同時に、迷いは⼀切なかった。

澄華は磁極砲を構え、⼀番⼿前にいた異喰へと、引き⾦を引いた。

――パンッ!

乾いた発砲⾳。

放たれたポインターは、狙い通り、異喰の肩へと突き刺さる。

次の瞬間には、もう磁極砲をカーゴパンツのポケットへと押し戻していた。

左右の腰から、錐⼑を同時に抜く。

⼼臓が、うるさいほどに鳴っている。

だが、不思議と思考は冴えていた。

跳躍装置のレバーを引き、⼈差し指のサックに親指で触れる。

――ギンッ。

強烈な磁⼒が発⽣し、澄華の⾝体は容赦なく引き寄せられた。