空を知らない君に贈る唄


――そして。

視界に、映ってしまった。

虚ろな⽬をしている、美織の姿が。

その⽬には、もう何も映っていない。

異喰に下半⾝を 喰われたまま、⼒なく逆さまにぶら下がっている。

時間が、⽌まった。

澄華の思考だけがその光景を拒絶したまま、置き去りにされた。

美織の腕がだらりと垂れ下がり、指先から――

カラン、と。

錐⼑が、地⾯へと滑り落ちた。

その乾いた⾦属⾳が、命が 尽きたことを告げる合図のように、

異様なほど⼤きく、澄華の⽿に残った。

――死んでしまった。

誰の⽬で⾒ても、それは明⽩だった。

あまりにも痛々しくて、あまりにも........残酷だった。

――さっきまで、あんなに笑っていた⼈。

あんなに、頼もしかった⼈。

「……」

声が、出ない。

その奥。

さらに、その向こう側。

数体もの異喰を相⼿に、たった ⼀⼈で 戦っている時川の姿があった。

遠⽬からでも分かる。