空を知らない君に贈る唄


⾃分がとても醜いものになってしまった気がした。

――⽣きていることを、喜んでしまった⾃分。

それは、誰よりも許してはいけない感情だった。

澄華はぎゅっと拳を握りしめる。

⽖が、掌に⾷い込み、じわりと痛みが⾛る。

でも、その痛みすら、現実感を与えてはくれなかった。

(私は……)

声にならない問いが、喉の奥で溶けて消える。

空は、相変わらず⻘かった。

太陽は何事もなかったかのように地上を照らし続けている。

その光が、あまりにも残酷だった。

そして――

その 時だった。

⽊々を挟んだ向こう側から、空気を引き裂くような、時川のものらしき

⼤声が響いた。

「桜⽥ぁぁぁぁ!!!!!!!!」

魂そのものを引きずり出したような声だった。

絶望に満ちたその声は、距離なんて関係ないと⾔わんばかりに

澄華の⿎膜をビリビリと痺れさせる。

⼼臓が、跳ね上がった。

澄華はカタカタと⼩刻みに震える体を無理やり動かし、

その声のした⽅向を、ゆっくりと⾒上げた。