怜奈が喰われた瞬間。 ⻯也のように怒りが爆発したわけでも、 陽⽃のように世界が壊れたような絶望を感じたわけでも、 伊織のように、理解が追いつかず、 ただ悲しみだけが押し寄せたわけでもなかった。 ――違った。 あの瞬間、澄華の胸に広がったのは。 悲しみでも。 怒りでも。 絶望でもない。 ⼼の、どこかで。 (……私は、まだ⽣きてる) そう、思ってしまった。 仲間が⽬の前で殺されたというのに。 その感覚が今になって、鉛のように胸に沈んでくる。 吐き気が、こみ上げる。