空を知らない君に贈る唄


「あ……」

⻯也の⼝から、⾳が零れた。

「あ……あ………」

声にならない、ただ、空気が喉を震わせただけの⾳。

震える視線が⾚い液体を追い、

そして――

先程まで、伊織が“いたはず”の場所。

異喰の拳を凝視する。

そこには、もう、形を保った⼈間の姿などどこにもなかった。

⻯也は動けない。

息もままならない。

その頭上に、影が落ちた。