空を知らない君に贈る唄


伊織は咄嗟に⼿を伸ばすと、全⾝の⼒を込めて――

⻯也を、突き⾶ばした。

「なっ――!?」

⻯也の⽬が、驚愕に⾒開かれる。

体は⼤きく後ろによろけ、踏ん張る間もなく、尻餅をついた。

そして、それと――

同時だった。

伊織が.......

振り下ろされた異喰の拳に潰されたのは。

ビシャッ。

それは、⾁が砕ける⾳というより、液体が地⾯に叩きつけられた

ような、あまりにも⽣々しい⾳だった。

異喰の拳の下から、⾚い液体が、じわじわと滲み出す。

⾎だ。

それが、⼀メートルほど先に座り込んだままの⻯也の⾜元へと、

ゆっくり広がっていく。