空を知らない君に贈る唄


伊織は、⻯也のすぐ⽬の前まで駆け寄り――

そして……

その場で、⼒が抜けたように、膝をついた。

「……っ、……」

喉が震え、⾔葉にならない息が漏れる。

握りしめた拳が、地⾯に触れ、⼩刻みに震えていた。

⻯也は、⼀瞬きょとんとしたように伊織を⾒下ろし、

それから、視線を逸らした。

「……泣くなよ。俺は平気だから。」

軽く⾔った、その声は、どこか、空っぽだった。

伊織は顔を上げない。

ただ、⻭を噛みしめ、嗚咽を必死に飲み込んでいるのが分かった。