「お⽗さんお⺟さん助けて!!!!こんな所来なきゃ良かった!!
死にたくない!!やだやだやめてぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
怜奈の声は徐々にかき消され、最後は嗚咽と微かな悲鳴だけが残った。
ギロチンのように⻭が降ろされ、響いた⾳は――
グチャッ――
⽿障りな、⽣々しい感触を伴った⾳が、空気を震わせ、澄華たちの
⼼臓に深く突き刺さる。
⽬を閉じたくても、体が動かず、視線は怜奈のいた⽅向から離れない。
まだ数秒前まで笑い、冗談を⾔い合っていた友達が、今、この世から
消えた瞬間を⽬の当たりにしてしまったのだ。
澄華の⾝体は完全に硬直し、膝から⼒が抜け、床に崩れ落ちた。
呼吸は浅く、速く、乱れ、胸の奥が締め付けられるような
感覚に襲われる。
全⾝が痙攣のように震え、錐⼑を握る⼿もぶるぶると揺れた。
声を出そうとしても、声帯が拒絶するかのように、かすれた
「ひ……ッ」
という蚊の鳴くような声しか出せない。
陽⽃も、⻯也も、伊織も――全員、⽴ち尽くすだけだった。
陽⽃は⽬を⾒開き、周囲を必死に⾒回すが、状況が理解できず、
⼿は⽌まったまま、異常なまでに震えている。
⻯也や伊織は⼝をパクパクと動かし、声にならない息を漏らす。
涙が頬を伝い、服を濡らしていくが、顔を覆う余裕もなく、
ただ茫然と怜奈が消えた⽅向を⾒つめ続けていた。
澄華は、頭の中で何度も「逃げろ」と叫ぶが、声にならない。
⼼の底からそう叫びたいのに、⼝は利かず、⼿も⾜もまるで⾃分の意志
を失ったかのように、動かない。
その絶望の空間に、異喰の低いうなり声が重く響く。
空気が震え、地⾯が微かに揺れる。
澄華たちは、仲間を失った恐怖と、⾃分も次に標的にされるのではない
かという極限の恐怖に、全⾝を⽀配されていた。



