「⾏こう!!!」
怜奈が⼒強く声を上げ、体を前に傾けた瞬間、地⾯を蹴る⾜⾳が空気を
震わせる。
陽⽃も、⻯也も、伊織も――その声に呼応するように、
⼀⻫に⾛り出した。
澄華も息を切らしながらその後を追う。
胸の奥で、⿎動が早鐘のように響く。
──⾃分たちは戦えるんだ。
しかし、その希望は、まだ淡く儚い蜃気楼のようだった。
突如、視界の端で動きが⽌まった。
⼀匹の異喰が、ゆっくりと、だが確実に、こちらに向かって⾛ってきている。
異様な⾁の塊の塊、膨れ上がった⽬、そしてねじれた⼝。
その全てが、理屈を拒否する異常さを放っていた。
「皆、構えて!!!」
怜奈の声が響き、磁極砲を構えた怜奈が視界に⼊った。
引き⾦を引くと同時にポインターが放たれ、空気を裂いて―――
ポインターは異喰の肩に命中した。
「当たった!!!」
怜奈の声は喜びに満ち、⽬は輝いていた。
澄華が思わず、「すごい!!」と声を上げかけた――
その瞬間だった。 ――怜奈が、消えた。
⼀瞬にして、そこにあったはずの姿が、空間から消えた。
澄華の笑顔は固まり、乾いた声が零れる。
「………………………え?」
陽⽃が⾜を⽌め、周囲を必死に⾒渡すが、どこにも、怜奈の姿はない。
澄華が恐る恐る頭上を⾒上げる。
次の瞬間、全⾝の⾎が凍るような感覚に襲われた。
──怜奈が、いた。



