「……私達は……戦わないの?」
その⼀⾔で、空気が⽌まる。
誰もが、はっとしたように動きを⽌めた。
⼼のどこかで、皆が思っていた⾔葉だったからだ。
怜奈は⼀歩前に出て、顔を上げる。
その瞳は、迷いよりも決意に満ちていた。
「私達だって……階級は⼀番下だけど……」
ぎゅっと拳を握りしめ、声を強める。
「上進隊の隊員なんだよ!!! 戦わないと!!」
その⾔葉に、誰かが息を呑み、
そして、誰かが――頷いた。
やがて、それは全員へと広がっていく。
「……そうだよな」
「⾒てるだけじゃ、意味ない……」
澄華も、気づけば腰のホルスターに⼿を伸ばしていた。
⾦属の感触。
錐⼑を引き抜く⾳が、やけに⼤きく⽿に残る。
全員の表情は、期待に満ちていた。
――⾃分たちも戦える。
――役に⽴てる。
――ここに⽴つ資格がある。
そう信じて疑わなかった。
それがどれほど哀れで、無防備な思い込みなのか――
この時の澄華たちは、まだ知らなかった。
静かに、だが確実に。
破滅への⻭⾞が、回り始めていた。



