約束を超えた先で、君を待つ。

――目が覚めたのは、夕方だった。

「ん……」

「月音? 起きた?」

「ん……うん……いまなんじ?」

「夕方の五時。よく眠れた?」

「うん……」

目を擦ると、視界がだんだんはっきりしてくる。

確か病室に戻ってきたのが二時過ぎだったから、三時間くらい眠っていたのか。

陽太くんはまだこの病室にいたようで、わたしが起きたことを確認するとベッド横の丸椅子から立ち上がって覗き込むように見つめてきた。

「はよ」

「おはよ……」

「ナースコール押す?」

「ううん、だいじょぶ」

「わかった。じゃあもうすぐご飯の時間だし、俺部屋戻るから」

「うん。早く戻りな」

「寂しかったらいつでも呼べよ」

「うるさい早く戻って!」

結局陽太くんは何しにここに来たのかよくわからない。話したいと言っていた割にはわたしが眠るのも何も言わなかったし、起きたタイミングで帰るし。一体何だったんだろう。

「じゃあ、また明日来るから」

「いや来なくていいよ……」

手を振り病室を出ていく陽太くんを見送ると、部屋の中の音が鮮明に聞こえる。時計の音、点滴の機械の音、布団が擦れる音。自分の心臓の音や、息遣い。

陽太くんが入院している時は、いつもこうだ。一日の大半をここで過ごしていくから、いなくなった後にすごく部屋が静かに感じる。

……だから嫌なんだよ。

ため息をついてからもう一度眠ろうと思ったけれど、たっぷり寝たからか目が冴えてしまってもう眠れそうもない。

じゃあ動画でも見ようかと思ったら、今度はスマホの充電が切れてしまっていたことに気付いて。

「はぁ……最悪」

充電器は差したものの、待つのが面倒で。無意味に天井を見上げた。