約束を超えた先で、君を待つ。

「……なんか、どうしてそんなこと言うのみたいな顔してんな」

「っ、なんで……」

「わかるよ。この一ヶ月、ずっと月音のこと見てたんだから」

「っ!」

心臓がドクンと大きく鳴って、体温が一気に上がる。

「あ、顔赤くなった」

「なっ……」

思わず握られた手を離そうとするけれど、力が強くてびくともしない。

「残念でした。離してあげません」

「なんっ、なんで」

「だって、月音の反応が可愛いから」

口角が上がって、目尻がたれさがる。そんな優しい笑顔で言われた言葉に、わたしはまた息を止めた。

"可愛い"

今までの人生で、家族以外からそんなことを言われたのは初めてで。しかも、こんなぐちゃぐちゃの顔で、とんでもなくひどい姿をしているのに。あまりの衝撃に言葉を失ってわなわなと身体が震える。

「月音。俺、月音が思ってるより諦めの悪い男だからさ。ちゃんと覚えといて」

「……」

「俺、月音のこと諦めないから。月音がどれだけ自分のことが嫌になっても、どれだけ落ち込んで絶望してても、どれだけ諦めたくなっても。俺は、俺だけは。……絶対に、諦めないから」

握る手から、体温が移る。まるでそれは、陽太くんがわたしに力を分け与えてくれているようだった。

……だけど。

「……だめ、だよ」

「え?」

「だめだよ。陽太くん」

今度は、すんなりと手が離れる。