約束を超えた先で、君を待つ。

「よ、たくんっ……」

「月音?」

「ようたくんっ……ちがう、ちがうのっ……」

ようやく出た声は、涙が混じりうまく言葉にならなくて。

「……月音、泣いてる?」

「わたしがっ……わたしが悪いのっ……」

「月音、入っていい?」

だけど陽太くんには確かに聞こえていて、わたしが返事するより先に扉が開く。

思わず下を向いたまま泣き続けるわたしに、陽太くんはゆっくりと近付くと。

――ふわり。

何か温かいものに、包み込まれた。

「っ……ひっ……ううっ……」

「……月音」

「っ、よう、たくっ……」

「月音っ。我慢しなくていいから。泣いていいから。俺しかいない。俺も見えてない。だから、たくさん泣いていいよ。全部受け止めるから……泣けよ。頼むから我慢すんなよ」

「うっ、うああああああ……!」

その言葉があまりに優しすぎて。わたしを抱きしめる手があまりに温かくて。縋り付くように泣いた。

凍りついていた心が、一瞬にして溶かされていく。

全てを諦めて無気力だった自分に温度が戻り、灰色だった世界が少しだけ色付いていく。

陽太くんは、泣き続けるわたしを離さないとでも言うように腕の力を強め。

わたしが落ち着くまで、ずっとそのまま抱きしめてくれていた。