約束を超えた先で、君を待つ。

拒否するたびにお母さんは傷付いたような顔をするけれど、どうせ食べたってわたしは半年しかもたないんだ。半年したら死んでしまうんだ。それなら、食べて治療して、何の意味があるの?

つらい時間が長引くだけなんじゃないの? わたしが苦しいだけなんじゃないの?

ずっと頑張ってきたよ。病気は治らない。それはわかっていたけれど、少しでも良くなるように頑張ってたよ。だけど、それでも無理だったんだよ。なのに、これ以上何を頑張ればいいの?

……もう、嫌だよ。

いつのまにかお母さんは食事を下げに廊下に出たらしく、わたしは病室に一人ぼっちになる。

だけど、今はこの孤独がちょうどいい。誰の顔色も伺わなくていい。誰の気持ちも考えなくていい。一人が楽で、一人が一番落ち着く。

楽しいも面白いも喜びも悲しみも怒りも、何も無い。ただ過ぎる時間を見つめるのが、今は一番落ち着くんだ。

どれくらいそうしていただろうか。部屋の扉がノックされ、

「……はい」

返事をしたもののなかなか扉が開かない。

看護師の誰かだろうと思っていたのに、誰も入ってこないから自然と扉に視線を向ける。

「……だれ?」

問いかけると、

「――月音」

聞き間違えるはずのない声に、わたしは一瞬呼吸を止めた。