約束を超えた先で、君を待つ。

「陽太くん……」

「月音、ごめんな」

落ち込んだように謝る陽太くんを見ていられなくて、わたしは手を伸ばして陽太くんの拳を包み込む。すると、ビクッと肩を跳ねさせてわたしの方を見る。

「っ……月音?」

その目には涙が滲んで潤んでいた。

「……陽太くんは、わたしにとって太陽みたいな人だよ」

「え……?」

「明るくて、うざったくて。デリカシーなし男だけど、それ以上に優しくて、沈んでいたわたしを引っ張り上げてくれる。眠っていた間も、陽太くんが現実に戻してくれた。今までも、何度も陽太くんの明るさに救われてきた。何度も、陽太くんに助けてもらった。……陽太くんは、いつだってわたしを照らしてくれる。わたしにとって太陽みたいな人だよ」

「つきね……」

「この病気になってから、どこか人生を諦めてたの。笑うこともなくなって、楽しいと思うこともなくなって。ただ、時間が過ぎるのを待つだけ。この病室の天井のシミなんて、見なくても答えられるくらいに見つめてきた」

楽しいとか、面白いとか、何かを心待ちにする気持ちとか、何かを失うことが怖い気持ちとか。そういうものを、全て諦めて生きてきた。

「病気が完全に治ることもない。安定したって、またすぐに入院かもしれない。そう思ったら、自分の将来に希望も夢もなくて。退院しても、学校に行くのが怖くなって行けなくなって。あぁ、もうダメだって。わたしは、一生この病室で生きていくんだって、ずっと思ってた」

「月音……」

「だから、陽太くんの底なしの明るさに触れて、たくさん"楽しい"を教えてもらって、たくさん笑わせてもらって。もしかしたら、わたしにも未来があるのかもしれない。って。そう思えるようになった」

退院して、一緒に笑い合いながら、学校に通って。

もしかしたら、あの夢で見たような光景が、現実になるんじゃないかって。それを目指せるんじゃないかって。

そう、思ってしまうの。