病室に戻ろうとするわたしの足取りは重く、ケガ人とはいえどう見ても元気そうな陽太くんに比べたらあまりに遅い。そんなの、陽太くんだって見ているだけでイライラするだろうに。
それなのに、陽太くんはそんなこと全く気にしていないように、わたしのスピードに合わせて一歩ずつ足を進めた。
「なぁ月音。今日は天気がいいな! 風が気持ちよさそう!」
時折窓の向こうに目を向けながら、心から楽しそうに。
「あ、あれ飛行機雲じゃねーか? キレーだな。……なんかいいことありそうじゃね!?」
何かわたしが返事をするわけでもないのに、ずっと一人でぺらぺらと喋っている。
「なぁ月音。俺たちが初めて病院で会った日も、飛行機雲出てたんだよ、覚えてるか?」
「……飛行機雲?」
「あぁ」
思わず聞き返してしまったのは、あの時の天気すら、わたしは覚えていないからだった。
窓の外を見ると、確かに一本の長い線のような飛行機雲が続いている。
「あの時の月音。俺のこと見てドン引きしてただろ」
「……誰だって引くでしょ。事故って運ばれてんのに無駄にテンション高いとか」
「ははっ、あの時はご心配をおかけしました!」
「心配した覚えはありません」
軽口を叩き合いながら、そういえばあの日もこんな春の終わりだったのかと思い出した。
それなのに、陽太くんはそんなこと全く気にしていないように、わたしのスピードに合わせて一歩ずつ足を進めた。
「なぁ月音。今日は天気がいいな! 風が気持ちよさそう!」
時折窓の向こうに目を向けながら、心から楽しそうに。
「あ、あれ飛行機雲じゃねーか? キレーだな。……なんかいいことありそうじゃね!?」
何かわたしが返事をするわけでもないのに、ずっと一人でぺらぺらと喋っている。
「なぁ月音。俺たちが初めて病院で会った日も、飛行機雲出てたんだよ、覚えてるか?」
「……飛行機雲?」
「あぁ」
思わず聞き返してしまったのは、あの時の天気すら、わたしは覚えていないからだった。
窓の外を見ると、確かに一本の長い線のような飛行機雲が続いている。
「あの時の月音。俺のこと見てドン引きしてただろ」
「……誰だって引くでしょ。事故って運ばれてんのに無駄にテンション高いとか」
「ははっ、あの時はご心配をおかけしました!」
「心配した覚えはありません」
軽口を叩き合いながら、そういえばあの日もこんな春の終わりだったのかと思い出した。



