怪異ハンター

椅子は鬼に当たって床に落下して大きな音を立てる。
けれど鬼はビクともしない。
拓へ視線を向けてニヤニヤと笑うばかりだ。
その口元からは血にぬれた牙が覗く。
次の瞬間には鬼は拓の目の前にいた。
鬼の爪が大きく空をかき、拓と輝の肩を切り裂いた。
二人同時にうめき声をあげてうずくまる。
切られた傷口から血がポタポタと床に落ちていく。
痛みとも熱とも感じられる傷に輝の目から涙が溢れる。
『輝……』
拓が輝に右手を伸ばしたそのときだった。
鬼が身にまとっている黒いモヤ、怪異のオーラがふたりにつけられた傷口に入り込んできたのだ。
するりと体に入り込んだモヤに拓が『うわぁああ!』と悲鳴を上げる。