1945年、君を迎えに行く。





「先生、あちーよ!エアコンそろそろ付けてよくね?」


「これくらい我慢しろ。ここはまだ涼しいほうだぞ」


「マジかよー」



迫りくる夏がやってきた。


制服のシャツのなかに空気を入れて扇ぐ男子と、下敷きをパタパタとうちわ代わりにする女子。

制汗剤の匂いがそこらじゅうから香ってきては鼻につく。


そのキャップの色が違っているだけで周りからつつかれるらしい青春ジンクスとやらは、今はもうあまり見当たらない。



「エアコン初めて見たとき、どうだった?」


「…涼しさは向こうの早朝と変わらないと思ったな」


「あー、長野だもんね。涼しそう」



もはや理科準備室というよりは研究室。

白衣姿のマッサンの指示で火に炙られたフラスコに液体を足してゆく隼人は、まさに助手だ。


彼らは毎日よく分からない研究をしているのではなく薬を作っているのだと知ってからは、私もちょっかいを出すことはやめた。