「俺たちは亀屋食堂に行ってくるが、おまえたちはどうする?」
「…俺たちは酒は飲めないからやめておく」
「わかった。…遺書、書いておけよ」
兵舎に残った、俺と風間。
他の仲間たちは軍指定食堂へと向かい、酒を求めてせめて最後の夜を楽しみに行った。
明日、日の出を拝む前に俺たちは出撃する。
「やっとこのときが来たぞ…。なあ、鳥海。ぜってえ敵艦を一直線に沈めてやるんだ」
「…ああ」
「洋子(ようこ)も驚くだろうなあ。俺が空を飛んで国を守る翼になるんだから…」
そうやって鼓舞しなければ、いけない。
自分をどうにか奮い立たせて、やってやるんだと、自信をつけなくてはいけない。
青白い顔で笑いかけてきた風間に、俺は好物でもある黒糖飴をひとつ、差し出す。
「っ…、靖国に行ったらよ、そんときは一緒に酒でも呑もうぜ。さすがにそこでは心臓が弱い鳥海も呑めるだろうし」
「…そうだな」



