1945年、君を迎えに行く。





なぜ士官学校にまで行ったかと言われれば、パイロットの将校をしていた父親にとってはその道が当たり前だったからだ。


隼人という名前を名付けたのも父親。

陸軍の航空兵になった瞬間、涙をこぼしそうな母親の横で静かに頷いたのも父親。


好きな女もいなければ、生まれて1度も恋というものを味わったことすらない。


果たして俺はこのまま………飛べるのだろうか。



「………ようこ……、逢いたい…」



せめて夢のなかでくらい逢わせてやってくれないかと、俺は願ってしまった。

17歳の子供のような寝顔は、まるで母親を呼ぶように、心愛する女の名をつぶやいていた。



「第21振武隊、君たちに出撃命令を下す」



そして翌日、俺たちの部隊にいよいよ命令が下った。


1945年、3月のことだった。


膨らんだ桜の蕾の開花は、ギリギリ見れそうにないらしい。

戦況は悪化し、アメリカの本土侵攻を食い止めるためにも決死の特攻作戦は日常化され、他の部隊も次々に空へと消えていく。