この国で兵士にならなくていい、なれない若者は、主に2つ。
ひとつは徴兵検査で引っかかるほどの病気や体格を持った不適者。
そしてもうひとつは、軍事関係の技術者や医者、研究者、鉄道関係だったりと、国に必要な役職についている人間。
風間の幼馴染の結婚相手は、後者だ。
「結婚して子ども生んで、母親になって。どんどん俺のことは忘れちまうのかなあ…。んでも俺、それでいいと思ってんだ」
こんなふうに言えてしまう風間が、俺の目にはどこか羨ましくも見えた。
「あいつがいつまでも健やかに笑ってるなら、それでいい。そのために俺は……飛ぶんだから」
俺は、飛ぶ理由が未だに分かっていない。
なんのために飛ぶのか、考えても考えても浮かばなかった。
国を守るため?
…ちがう。
天皇のため?
…ちがう。
たとえ身体が弱くとも兵士になりたかったから?
……ちがう。



