1945年、君を迎えに行く。





「俺ねえ、俺ねえ。好きな子が…いてさあ」



それぞれの寝床に敷かれた布団。

俺のとなりは風間で、いつも誰よりも早く寝るというのにその日はいちばん最後の俺と同じくらい起きていた。



「幼馴染でよ。…ほんの少し、ハルミちゃんに似てんだ」


「…そうなのか。おっちょこちょいなんだな」


「ははっ、そうそう。昔っから何もない場所で転ぶしよ。ほんっと…見ているだけで心配になったものだよ」



秩父の奥地出身だという風間は、この部隊のなかではあどけなさの残る最年少の17歳だった。

俺より1つ年下でありながらも、好きな女を思い出すと男の顔に変わるものなんだと、俺はぼんやりその横顔を眺める。



「でもそいつ、来月嫁に行くんだと」


「…そうか」


「相手は鉄道職員らしくて。…そいつは戦争に行かなくていいから、俺もホッとしたよ」