「とうとう沖縄に鬼畜米英が降りたらしい。…俺たちもそろそろか」
「…クソ……、神風でも相手にならないってのに、俺たちにどうしろっていうんだよ」
兵舎に戻ると、また空気はガラリと変わっていた。
「俺は…こんなふうに命を捨てたくて飛行学校を卒業したんじゃないぞ」
「なにを言ってる。おまえも自ら特攻志願したから、ここに居るんじゃないのか」
「あんなのマルを付けなけりゃ……きっと俺は、非国民だと殴られてたよ。おまえもそうだろう?上官たちの目は…、俺たちが拒否することなんか許さないんだ」
夜になると兵士たちに笑顔が消える。
この瞬間が本当の姿と言っても過言ではない。
いつも覇気を出し、上司には背筋を伸ばし敬礼し、女学生の前では笑顔を見せる。
嘘なんか、どうとだって作れるんだ。
ただ明日のことを考える夜だけは、同じように散っていく命が集まった夜だけは、唯一として本心を見せてもいいひとときだった。



