1945年、君を迎えに行く。





「ねえマッサン、知ってた?太平洋戦争の正式名称は大東亜戦争なんだって。どーして日本の教科書はウソばっか教えるの?」



6月。

季節は梅雨真っ只中というのに、今日だけは青空が広がっていた。



「カミカゼカミカゼ言うけど、それは海軍の特攻隊でしょ?陸軍は振武隊(しんぶたい)、神風(しんぷう)じゃなくて振武隊って言うらしくって」



日に炙られたフラスコのなか、コポンっと紫色をした液体が跳ねる。


ここは理科準備室。

休み時間終了のチャイムが鳴るまで残り5分にも関わらず、私は今日も白衣を着たひとりの教師に一方的にも論を張っていた。


新しいことを知るたびに私はこうして、この場所に来てしまうのだ。



「僕は理科担当だぞ。そういった話は歴史に詳しい不二(ふじ)にでも言ったらどうだ」


「だーってマッサンもある程度は詳しいでしょ?不二先生に言ったところで求めてもない知識をひけらかしてくるだけだし」


「…ふうん。それこそ僕の気持ちが分かるんじゃないか?とくに求めてもいないのに、毎度のことこうしてひけらかされる僕の気持ちがね」