「腰抜け、腑抜け、臆病者。…ッ、俺だって本当は……、」
ぐっとこぶしを握りしめて、畳をひとつ殴った鳥海。
この時代のパイロットは、現代で言われているような平和なものじゃないはず。
軍事的な操縦者のことを指しているはずで、そこを卒業したら戦闘機に乗れるのかもしれない。
ここにいる鳥海は、そんな存在を目指していたのだろうか。
「ぜったい……、こんな病気治してやる…」
ゾクリと背筋が際立つ。
そんな顔ができたんだと、できるんだと、強い強い覚悟を胸に秘めている顔だ。
「…さっき、製薬所って言ってたけど。あなたは…薬を作ってるの?」
「…そうだ。薬の研究と開発をしてる」
それ以上聞きたいことは、なかった。
「これ…、目、つぶれてないよね…?」
「…平気だ」
近くで見るともっと痛々しい。
冷やすだけでいいわけがないと、私が問いかける前に。
近くの箪笥を指さしたのは怪我をした本人だった。



