それから未来に戻ることはできず、気がつけば空は茜色に変わっていた。
「…ただいま」
「おかえり隼人……って、あんたどうしたんね!?その傷…!」
「…殴られたんだよ。いつものことだ」
ひどい……。
唇の横が切れているくらいなら、まだいい。
腫れぼったい左まぶたは、すでに内出血を起こして青色に変色してしまっている。
「鳥海っ、すぐに冷やさないと…!」
「…なんだよ、まだ居たのか。日が落ちる前には出ていったらどうだ」
「そんなこと言っとる場合かね!!ごめんよシオちゃん、この手ぬぐいを井戸で濡らしてきてくれるかい…!」
「わ、わかりました…!」
なんで殴られるの?
いつものことって、どうして…?
病気で兵隊になれなかっただけで、それだけで殴られてしまう世の中だっていうの?
「動かないで。…滲みるかも」
冷やした手ぬぐいを、そっと傷口に当てる。
ピクリと反応はされたが、どうにも痛みさえ通り越した麻痺状態になっているらしい。



