こんなにも嘘を信じ込まれてしまうと、罪悪感だけが残る。
嘘も方便。
乗り切るためには仕方がない。
「そういえば名前、まだ聞いてなかったわね」
「あ、すみません…志緒っていいます」
「シオちゃん。珍しくて素敵な名前だこと」
急須から湯呑みにお茶を注ぎながら、この場所にいる鳥海のお母さんは力なく微笑んだ。
「あの子は生まれつき心臓が弱くてねえ。パイロットを諦めるしかなかったの」
思い出した、ゲームセンター。
プリクラを忘れたように真っ先に向かっては、操縦レバーを慣れたもののように握っていた。
現代の鳥海とはまた別人のはずなのに、どうしてこんなにも重なってしまうんだろう。
「士官学校にまで通ったけれど、帰ってきてしまった。兵隊さんにもなれんくて……この町では少しね、毛嫌いされているのよ」
「そんなの…しょうがないじゃ、ないですか」
病気なんだから。
心臓が生まれつき弱いんだから。
丈夫に産んであげられなかった自分のせいだと、お母さんまで自分自身を責めているような気がして。
私のほうが悔しかった。



