「さ、上がって。すぐに温かいお茶を用意するからね」
「…すみません」
かなり立派な一軒家だ。
足場が安定しない細道の先に、こんなにも門構えからきちんとした2階建ての古民家があるなんて。
上がってすぐ、仏壇を見つけた。
遺影に映った男性は勇ましく着こなした軍服姿に、胸に勲章のようなものが付けられている。
見るからに上の立場だったのだろうと、素人目にも理解できた。
………似ている。
「母さん、これから製薬所のほうに行ってく───」
「え…っ」
そのとき。
階段を駆け下りて居間に顔を出した青年と鉢合わせた瞬間、私はつい小さな声を上げてしまった。
疑い深い目に変わった彼とは反対に、身を乗り出すように口を開いてまで。
「と、鳥海!なんでここに……!」
「…だれだ。どうして俺の名前を知っているんだ」
「え…?だれって、志緒だよ!まえ、山のなかで……」
あれ…?
ちょっと待って、おかしい。



