「…すごいね。いろいろ知ってるんだ」
「一応これでも航空士官学校に通っていたからな」
「…………」
周りの音が一瞬、静まったようにハッキリと聞こえてきた。
航空士官学校…?
まだ17歳のくせに?
高校卒業してパイロットを目指してそういう学校に行く、っていうなら分かるけど。
「…俺はこんな身体だから、諦めてしまったが」
カチカチとレバーに付属されたボタンを押しては「音が鳴るだけじゃないか」と言い、動かすたびに「軽すぎるな」と、文句大会。
鳥海 隼人。
飛ぶために生まれてきたような名前だと。
私は妙に、なぜか、その姿が様になりすぎていて怖かった。
「なんか今日はありがと。ここまで時間使う予定じゃなかったけど」
「悪い。でも俺も…楽しかった」
「まあ明日は土曜だし。…じゃ、ゆっくり休んで」
夕暮れの交差点。
そういえば鳥海の家ってどこにあるんだろ?
なんて思いながらクラスメイトに背中を向けた私は、「志緒」と、改めて呼ばれる。



