「はあ…。このあと時間ある?」
「…なにかあったのか?」
「うん。ちょっと…話したいことある」
放課後のショートホームルームが始まる前、あまり目立たないように声をかけた。
見つめ合うこと、数秒。
「…わかった」
そんな神妙な面持ちを向けられるほどのことじゃないんだけど…。
渡された手紙は、外側から触っただけで分かった。
かなりの厚みだ。
便箋5枚分くらいはある気がする。
「……なあ、志緒」
「ん?」
「ここは…なんだ」
「なにって、喫茶店だけど」
メニュー表を見てどれにしようか迷う、15時30分。
鳥海を連れてきた場所は、少し住宅地に入った外れにある小さな純喫茶だった。
いつも通るたびに気になっていて、チラッと覗いて断念しての繰り返しで。
常連さん御用達なのかな、新規は迎えられないかな、などと考えてしまってなかなか踏み込めなかったのだけれど。
鳥海という盾を使って、やっと入店できた今日。



