1945年、君を迎えに行く。





どうして、なんで、そんな顔をしているの…?


穏やかに微笑んで、すべての苦しみから解放されたかのような顔で。

彼は私の腕をそっと離すと、名前を呼び、一歩下がっては静かに敬礼をする。



「陸軍特別攻撃隊、第110振武隊所属、鳥海 隼人。…このたび4度目の出撃命令が下りました」


「…え……?」


「…3度も帰ってきてしまって、情けないばかりだった。だが必ず、今度こそ俺は……敵艦を沈めてみせる」



1度目は燃料漏れ。
2度目はエンジン故障。

3度目は、引き返すほどの悪天候。


帰ってくるたび上官から「覚悟が足りないからだ」と殴られていた彼は。


今度こそ成功してしまうと、思わせてくる表情で。



「短い間だったが、世話になった。…それを俺に言わせるためにまた来てくれたんだと、思うことにするよ」


「……とり、うみ、」



いやだ……、
やめて、聞きたくない。

やっと戻ってこれたんだ。


最後のチャンスを使ってまで、“向こうの”君を……振り払ってまで。



「どうか笑顔で見送ってやって欲しい。このハヤトの名のもとに……俺もまた、笑って征(い)きます」