「ま〜、たしかに漢数字のサイコロなんか初めて見たかも?」
「…サイコロでタイムスリップ、か。ありそうではあるがな」
「っ、だよね!?あるの…!!あったの!!」
「いかにもライトノベルでありそうなテーマだ」
「…………」
マッサンなら興味持ってくれると思ったのに、見当違いだったらしい。
いつもいつも何をひとりで実験してるのか知らないけど、この人の授業もだいぶ変わっていて、ほとんどが生徒たちの意向に任せるといった授業スタイル。
逆にそれが世の個性なり多様性なりと、そういった満足感を博しているのが我妻 昌也なのだ。
「これ、食べて大丈夫なやつかなあ」
昭和20年、1945年の黒糖飴。
貰ったのは昨日だとしても、現代ではかなりの年代物だ。
「……あいつ」
そして準備室を出てすぐ、ほんのついさっきまであっただろう人の気配。
盗み聞きなんてタチが悪い。
やるからには堂々としなよ、男らしくない。
教室を出てから現れるこんな気配が、まるで違和感ばかりの誰かさんを彷彿とさせた。



