「……どうして…、なぜ……また来てしまったんだ、」
色褪せた軍服姿の彼もまた、私の姿を確認すると目を開いていた。
革製の航空帽ひとつ、外されたゴーグルと航空手袋。
パラシュートも付けていない状態に、私は何よりホッとした。
そんな青年は一瞬泣き出しそうに瞳を揺らせてから、気を引き締めたように捉えてくる。
「せっかく戻れたのになんで来たんだ…!!きみは…、おまえは、未来なんだぞ!!」
「っ、」
迫りくるような圧迫感は、焦りだった。
ほかの兵士に比べてとくに落ち着いていた彼は、珍しいほどの焦燥感のなかで私に訴えてくる。
「……だからだよ。未来だから、ここに来たんだよ」
「………、」
間に合った。
間に合ったんだ。
神にも、時間にも、運命にも。
私は逆らって抗った。
「行こう鳥海。一緒に未来に───」
「志緒」
けれど掴んだはずの腕に、実感がなかった。
ドクリと血液から込み上げてくるは、恐ろしいほどの違和感。



