「どうか笑顔で見送ってやって欲しい。このハヤトの名のもとに……俺もまた、笑って征きます」
“行ってきます”は、言わない。
それは帰ってくる前提の言葉だから。
いきます、征きます。
彼らは帰らぬ前提で片道切符を手にして笑って征くのだ。
「まって、ねえ、待ってよ…、言ったじゃんっ、約束したでしょ…!!次会ったときはって……」
「…ああ」
「約束…した、でしょ……、だって…、あんなに行きたがってたでしょ…!!スマホも写真もっ、嬉しそうにしてたじゃん……っ、そのために鳥海だって───、っ、」
身体に回った腕、耳元に寄った吐息。
「ありがとう、志緒」
初めて抱きしめられた温もりは、「これが本当に最後だ」と、確信的な別れを告げてきた。
「………なん……で…っ」
涙が、落ちる。
どう言おうと、なにを言おうと、彼はもう飛び立つつもりだ。
ここで引き止めたほうが人間として、仲間として間違っている。
どうやら私は自分でも気づかないうちに、戦争に染まってしまっていたらしい。



