1945年、君を迎えに行く。





「行こう鳥海。一緒に未来に───」


「志緒」



形勢逆転。

矛盾なく完璧なシナリオが、本人の意思によって覆される。



「……っ」



自分が何とも愚かで下等な生き物なのかを見抜かれた。


ああそうか、もう、納得したんだ。
自分の道が決まったんだ。

私があなたを救いたいと思ったように、あなたのなかでも守りたい絶対的な何かが抽象的ではなく、形としてハッキリ見えてしまったんだ。


そう思わせてくる眼差しだった。



「陸軍特別攻撃隊、第110振武隊所属、鳥海 隼人。…このたび4度目の出撃命令が下りました」



それは苦を脱却し、己の業を受け入れ、真理を見抜いてしまった人。

敬礼も、口の動きも、スローモーションに映る。



「…3度も帰ってきてしまって、情けないばかりだった。だが必ず、今度こそ俺は……敵艦を沈めてみせる」



情けない───その感情にまだ囚われている部分があるのなら、入り込める余白くらいはある。


いいよ、愚かでも。
いいよ、くだらなくても。

馬鹿げていて子供で、ワガママで我を押し通す強情さの塊に見られようと。


知ったこっちゃないよ、そんなの。