「おまえは…向こうの、おれ…ばかりで…。この世界の歴史を見たって……ぜんぶ、兵士になった奴を称えて…俺のようななり損ないの人間は…、評価も、されない…」
「そんなことない…、ないよ、」
「……おれは……もう…、死ぬんだ…」
私のほうが先に呼吸が止まりそうになる。
ヒュッと詰まりそうになって、まるで雪崩のように崩れた奥から「そんなことない」という否定が微かに息をしている洞窟。
「俺が生まれた、意味は……、なんだったのかなあ…っ」
くしゃりと歪ませて、瞳からは止めどない涙。
彼が流す初めてを見た瞬間だった。
死にたくないと、消えたくないと、なにかに縋っているようにも見えた。
存在意義が分からない。
自分という存在そのものが、わからない。
それは孤独だらけの暗闇の出口を、懐中電灯さえないなかで手探りで見つけるようなものだ。
その出口すら塞がっていることを知らずに。
むしろ出口そのものが本物ではなく、洞窟の水たまりが映し出した幻影に過ぎない無慈悲な暗闇。



