1945年、君を迎えに行く。





穏やかな顔をした彼がサイコロに触れた瞬間だった。

ぐらりと歪んだ視界と、今までとは少し違った不快にも思える秒針音が響き渡る。


カチィ、カチィ、カチィ。


ゆっくり、深く、もう動かない針を必死に動かすような。



「え……っ?」



すかさず私は彼の腕を掴んだというのに。

私を時空の亀裂に押し込むように突き放したのは、鳥海だった。



「とりうみ…っ」



伸ばした手は、同じようには伸ばされない。

時空の風に引っ張られていく私を落ち着いて見送るように、満足そうな眼差しで。


最初からそうすると、決めていたみたいに。



「つぎ…っ、ぜったい迎えにくるから…!!待っててっ、ここにいて……っ、やくそくっ、約束だよ…!!」



涙が粒となって落ちていく。

ふたりで食べたおにぎり、飴玉、スマートフォン、未来。


特攻兵の君は、そんなものに釣られてはくれなかった。




「………しお、」




けれど、唯一として誤魔化せなかったその震えだけは。

まだ18歳という年齢が暴いてしまったのだ。