「それは…どんな人、ですか」
「…素直じゃないときもあるけれど。とても度胸があって可愛らしい…俺には勿体ないくらいの…、俺が知らない世界をたくさん見ている女の子、かな」
その会話が逆に迷いを固めてしまったように、鳥海は優しい空気と爽やかさを保ちながらも敬礼をした。
「名誉ある特別攻撃隊の兵士として、堂々と任務を遂行して参ります」
「───……」
この人は生きなくてはいけない、とか。
この人を死なせたくはない、とか。
可哀想だから、病気だから、助けたいから、未来に連れて行くことが正しいなんて言い訳じみたことはもう、言わない。
一緒に生きたい。
彼の人生の先を、まだ見たい。
この人と、生きたい。
そっと動画を閉じて、スマホもポケットにしまう。
「行こう…鳥海」
「…そうだな。そろそろ、」
「未来に。いっしょに行こう」
「…………」
口のなかで溶けてしまったパインアメ。
目の前の軍服を咄嗟につかんで、「行かないで」を訴える。
行かないで。
この時代では許されない言葉だとするなら、私は違う方法を使うよ。
私にしか使えないものを、使えるだけ使ってやる。



