「ここ、あまり知られてない穴場らしいんだ」
階段を登った先に鳥居が見え、登りきったところでクルッと振り返れば。
「わあ……」
「飛行訓練をしたときに見つけたんだけれど。なかなか来る機会がなくて」
それは町が一望できる高さだった。
空からだと樹海に埋もれているため、狙われにくい造りにもなっているという。
奥には思ったよりしっかりと構えられた境内もあり、参拝者は私たちだけ。
「やっぱり長野とは違う?」
「ああ。標高から比じゃないな」
「向こうはアルプスだもんね」
いつの間にか寒さを超えていた知覧は、もう5月になる。
涙をも乾かしてくれた風が揺らす竹がザアッと音を上げると、ひらりと葉っぱが落ちてきた。
「ふっ、頭に乗った」
「…取ってよ、鳥海」
「そのままでも可愛いぞ」
「っ…、…とって」
「…わかった」
ひとつひとつの動作を焼き付けるように、私は夢中になる。
彼が伸ばす腕、かすかに触れた切なさ、離れてしまった名残惜しさ。
すべてが今ある奇跡として、私の目に映った。



