1945年、君を迎えに行く。





「おはよう志緒ちゃん」


「………杠さん」



こんなふうに声をかけられることは慣れたものだ。

下駄箱前、すこし憂鬱な気持ちを抱えながら振り返った。



「え、なに…?“杠さん”なんて、急にびっくりするよ…!」


「…あれ?私いつもそう呼んでなかったっけ…?」


「そんなの高1の頃以来だよ!乃愛(のあ)って名前で呼ばれるの、嬉しかったのにな〜」


「…ごめんごめん。乃愛」


「ふふっ。なんか面白かったからいいけど!」



ちがうの、聞いてよ乃愛。

私さ、変な夢見て。


そこではずっと乃愛のことを「杠さん」って言って、こんなふうに話してもいなかったんだよ。

むしろ夢のなかの私は乃愛のこと、ちょっと苦手だったかも。



「それで乃愛はさ、メガネかけてて。けっこう分厚いやつ」


「え〜、それぜったいモテないやつだよね?私は高校からコンタクトだよ?」


「…そう、だよね」


「志緒ちゃん…?」



なんか、引っかかる。

こんなに違和感だらけの感覚も懐かしいというか、でもその“違和感”が、私は嫌いじゃなかった。


そしてここにある“違和感”は、私が好きなものじゃない。